INNO diary

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編集者とマーケターの基礎は同じ ― これから編集者を目指す方へ ―

contents is king

紙媒体が低迷しても、コンテンツを生み出すニーズは依然高い


どうもperoです。

ウェブコンサルティング業務のかたわら、かれこれ7年ぐらいニュース系ウェブメディアの担当を兼任し、年間約1,200~1,500本ぐらいのニュース記事のアンカー役を代行してるヤツです。

またAdvent Calenderだよチクショウ。

 


編集者になりたい人たちへ捧ぐ

ウェブメディアに関わりはじめてから、「編集者になりたい人たち」と関わる機会が増えた。しかしどうもイメージに乖離がある方々も多いようだ。

よくあるのが、コンテンツを作る上位概念として、企画をメディア(WEB・紙)にまとめる、「思いを形にする」ような仕事だという認識だ。下手すると「クリエイティブで基本デスクワーク、たまに色んなところへ取材に行ける仕事」ぐらいのお花畑認識かもしれない。

決して間違っているわけではないが、現実の編集者の仕事は、個人の意向が無根拠に反映されることは、残念ながらあまり無い。

手がけるメディアの方向性や組織、扱う情報がフロー(新聞など)かストック(書籍など)か、などにもよるが、多くの場合はセンス・フィーリングによる企画を発案するアーティスティックなものではないし、校閲校正・制作進行のような単純作業でもない。

むしろ編集者が担う業務・責任は、ロジカルシンキングを必要とするマーケターのそれに似ている。

「マーケターの基礎的なスキルや考え方が、編集者にも必要」とも言い換えられるかもしれない。

こういった話はしばしば聞くため、すでに誰かが似た内容の記事を書いているかと思ったが、簡単にググった程度ではバッチリ同じ、というものも特に見当たらなかった。強いて言えば下記のような記事や、

note.mu

日経ビジネスでマーケターとの類似性が指摘されていたぐらいだった。

business.nikkeibp.co.jp

初歩的な内容になってしまうが、今回の記事はライター職や他業種から、編集者への転向を目指す人へ、マーケティング関連の基礎を身に付けることをおススメするために書く。

「編集者になりたい人たち」がその想像に乖離なく編集者をめざし、ステップアップの第一歩を踏み出す参考になればと思う。

なお、本文中の用語・職種・業務の定義については人により認識の差があることを踏まえ読んでいただければ幸いだ。

編集者の「企画」は単なる思いつきではない

さて、よく言われる編集者の仕事といえば、掲載するコンテンツの企画や取材、校閲校正から出版にこぎつけるまでの制作進行ではないだろうか。内製できない場合はライターに発注することなども含まれるだろう。

これらのうち、最もセンス・経験・スキルが問われるであろう「企画」部分が誤解のキモだ。

まず、デキる編集者の方々はこの企画を単に自分が「面白い」と思うかどうかだけで決めているわけではない(注:それで済んでしまう人たちやメディアもある。が、それは稀有な才能やレアケースであるため参考にしない方がよい)。

「面白い発見」や「思いつき」がトリガーになることはあれども、彼らは下記のような内容を全て把握した上で企画を練っている。

  • 前提として自社メディアのブランド・方向性がこうで
  • 現在の読者層がこういう人たちで
  • 特にお金を払ってくれる読者(ロイヤルカスタマー)はこういう人たちで
  • 今後こういう層を取り込んでいきたくて
  • 受注している広告主がこういうプロダクトを売ろうとしていて
  • 現在世の中の動向がこうで、今後こう動くと予想されていて
  • このタイミングでこういうターゲットの興味を惹くにはこういう内容で
  • この企画なら、推定これぐらいのボリュームにリーチするはず
  • その結果、自社のビジネス(広告、コンテンツ、物販など)でこれぐらいの結果が得られるはず

忙しい日々、企画ごとに上記の情報を資料にしていることは稀かもしれないが、聞けば答えられる編集者の方が多いだろう。また、書籍の場合は少し違うかもしれないが、きちんと売ろうと思うと、同じようなプロセスを経る必要があるだろう。

さらにデキる編集者の人たちは、編集業務もしっかりPDCAに当てはめ、後述するC=Checkに必要な効果検証の内容を、P=Planであるこの企画段階に盛り込んでいる。すなわち、企画時の「推定これぐらいのボリュームにリーチする」が実施後に想定通りであったかどうか、どの指標でどう測定し判断するかも決めている。

マーケットへの深い理解・定量的データ(数字)が必要

もうご理解いただけたと思うが、コンテンツを商品、読者を顧客に置き換えれば、マーケターと呼ばれる方々の基本的な取り組み方と同じだ。

あたかもマーケターが対象プロダクトの立ち位置と価値を理解したうえでターゲット層(ペルソナ)を絞りマーケティング施策を練るように、編集者は担当するメディアの立ち位置と価値を理解した上でターゲット読者を想定し、企画を練っている。

当然、自社メディアの業界構造・市場規模は把握しておかねばならないし、読者がコンテンツに触れたあと、それをどう「消費」しうるか(笑うのか?印刷するのか?シェアするのか?)もイメージできなければならない。

デジタル化で様々な指標が計測できるようになった昨今、掲載(出版)後にどれぐらい反響があり、他のコンテンツと比較しどれぐらいの効果があったのか、様々な数値を見て(Checkして)データに基づく知見を貯め、次の企画へ活かすPDCAサイクルを構築する必要もあるだろう。

そういった知識を前提にしてはじめて、下記のような取り組みもできる・活かせるようになる。

note.mu

個人のセンスやアイデア、視点がいかに優れており良いネタを見つけても、メディアとそのビジネスモデルに合った切り口を作れなければ、適切なチャネルで流通させなければ、効果が出ない。

これを考えられるようになるには、マーケティングの知識を培うことが近道ではないかと思う。

数字を追える編集者のニーズは高い

ハードルを上げてしまったかもしれないが、上記のような編集者のニーズは2018年12月現在、高いはずだ。転職エージェントも言ってるし間違いない。

まだまだ旧・紙媒体で活躍していた編集者が、デジタル化で一般的に使用される指標に慣れないまま(使わないまま)実務に就いていることも多いだろう。職人芸チックな経験に基づく企画ではなく、ロジカルに理論武装された企画であれば、営業部や上層部との社内コミュニケーションも取りやすいのではないだろうか。コンテンツマーケティングのクオリティも上がるだろう。

ウェブ屋としても、一緒に色々な指標が追える編集者さんが増えるのは大歓迎だ。ぜひ今後メディアマンを目指す方々には、マーケター的な視点が必要であることを頭の片隅に置き、スキルセットを構築していってほしい。

 


 

え?どう勉強すればいいかって?

上のリンクの横田氏が紹介してる本とか読んだらいいんじゃないですかね?知らんけど(関西人)

次回のAdvent Calender担当は当社のクリエイティブディレクター、shigeさんです。